最近、地震や大雨など、災害のニュースを見る機会が増えたと感じています。
9月1日は「防災の日」で、会社の朝礼でも防災について話す機会がある方が多いのではないでしょうか。
私は総務の管理職をしながら、第2種衛生管理者として職場の安全・衛生を見る立場でもあります。
この記事は、通勤している会社員の方だけでなく、買い物や送迎など外出の機会が多い方、一人暮らしをしている方にも読んでもらえたらと思って書きました。
最初にお伝えしたいのは、防災ポーチは、何日も生き延びるためのものではないということです。
外出先で被災した直後から、安全な場所へ移るまでを助ける、毎日持ち歩くための備え。それが、防災ポーチの役割だと思っています。
この記事では、「防災ポーチ・職場の備蓄・自宅の備蓄は何が違うのか」「防災ポーチの基本アイテム」「市販の完成品でどこまで揃うか、何が足りないか」を整理しました。
Contents
防災ポーチ・職場の備蓄・自宅の備蓄は、目的がまったく違う
「防災グッズ」とひとくくりにされがちですが、実際には役割が異なる3つの備えがあります。
| 防災ポーチ | 職場の備蓄 | 自宅の備蓄 | |
|---|---|---|---|
| 想定する場面 | 通勤中・外出先で被災した直後 | 帰宅困難になり、オフィスに留まるとき | 自宅で避難生活を送るとき |
| 想定する時間 | 被災直後〜安全な場所に移るまで(数時間程度) | 3日分が目安 | 最低3日、できれば1週間分 |
| 置き場所 | 毎日持ち歩くカバンの中 | オフィスのデスク・ロッカー | 自宅の収納・玄関付近 |
| 誰が備えるか | 個人 | 会社 | 個人・家庭 |
会社の備蓄は、消防法や各自治体の条例、帰宅困難者対策の考え方にもとづいて、事業所として整えられているものです。
自宅の備蓄も、最低3日、できれば1週間分を用意しておくことが一般的に推奨されています。
この2つは、どちらも「その場に留まる」ことが前提になっています。
一方、通勤中や外出先で被災した場合は、まず安全な場所まで移動するという、まったく別の場面が先にやってきます。
ここを支えるのが、防災ポーチの役割です。
総務・衛生管理者としての視点
衛生管理者には、少なくとも毎週1回、作業場を巡視する立場として、職場の安全設備や避難経路を確認する役割があります(労働安全衛生規則)。
この巡視の中で、「オフィス内の備え」と「一人ひとりの備え」は別物だと実感する場面が何度もありました。
会社の備蓄がしっかりしていても、通勤中の被災までは守ってくれません。
※事業所の防災備蓄・避難訓練に関する法令の詳細は、消防法・各自治体の条例を必ず条文でご確認ください。
防災ポーチの基本アイテム
小さなポーチに収まる範囲を目安に、基本アイテムを紹介します。高価なものをたくさん揃える必要はありません。
モバイルバッテリー
安否確認、情報収集、どちらにもスマートフォンが欠かせません。停電時は充電手段が絶たれるため、小型でもいいので必ず1つ持ち歩くようにしています。
小型ライト
夜間の停電や、薄暗い階段・地下道の移動で役立ちます。スマートフォンのライトでも代用できますが、バッテリーを温存する意味でも別に持っておくと安心です。
ホイッスル
大きな声を出し続けるのは体力を消耗します。小さな笛が1つあるだけで、自分の居場所を知らせる手段になります。キーホルダー型のものを鞄につけています。
携帯トイレ
断水や停電でトイレが使えなくなることがあります。意外と見落とされがちですが、優先度がかなり高いアイテムです。
エマージェンシーシート
体温を保つための薄手のシートです。折りたためばポーチに入るサイズで、建物内の空調が止まった状態で長時間過ごすような場面を想定しています。
マスク
避難所など人が密集する環境や、粉じん・煙が舞う状況では感染症・呼吸器への対策が必要になります。
ウェットティッシュ
水が使えない状況での手や顔の汚れ拭き、簡単な清拭に使えます。除菌タイプだと衛生面でも安心です。
絆創膏
避難時のちょっとした怪我の応急処置に。数枚あれば十分です。
ポリ袋
汚れ物入れ、簡易的な雨具、防寒の補助など、用途が広いので数枚入れておくと役立ちます。
小型非常食
災害直後、食事がすぐに取れない状況もあり得ます。長期保存できる食品を少量入れておくだけでも、気持ちの余裕が変わります。
現金と緊急連絡先メモ
停電時はキャッシュレス決済が使えないことがあります。小銭を含めた少額の現金と、家族や勤務先の連絡先を紙に書いたメモを入れておくと、スマートフォンの充電が切れても連絡手段が残ります。
常備薬
持病の薬が必要な方は、数日分をポーチに入れておくと安心です。
飲料水は、普段のバッグに別で持っておく
防災ポーチに飲料水を入れると、それだけでかなりの重さになります。
毎日持ち歩くことを考えると、ポーチ本体には入れず、普段使っているバッグに小型のペットボトルを1本常備しておくという方法をおすすめします。
防災専用として意識しすぎず、「いつものバッグに、いつも1本入っている」状態にしておくと、無理なく続けられます。
完成品から始めるなら|キングジムの防災ポーチ
自分で一つずつ揃えるのが大変な場合は、市販の完成品から始める方法もあります。
私が実際に確認したのは、キングジムの「災害備蓄ポーチ もしものときに More(JBP-100)」です。
携帯トイレ、エマージェンシーシート、マスク、ウェットティッシュなど、必要なアイテムがあらかじめコンパクトなポーチにまとまっているのが特徴で、「何を揃えればいいか分からない」という最初のハードルを下げてくれる手軽さがあります。
一方で、正直に書いておきたいことがあります。このポーチには、モバイルバッテリー・ライトが含まれていません。
あと当たり前ですが、個人の常備薬は自分で追加する必要があります。
完成品を買えばそれで終わり、というわけではなく、
これを「まとまったベース」に、自分に必要なものを追加する
という前提で選ぶのがいいと思います。

キングジム 防災セット 災害常備ポーチMore 10点セット JBP-100
完成品に追加しておきたいもの
キングジムのポーチをベースに、実際に追加を検討したものを紹介します。いずれも、「これさえあれば万全」というものではなく、メリットと同時に、足りない点・注意点も書いておきます。
BOS非常用トイレ(1回分)
防臭性の高い専用ポリ袋を使ったタイプで、断水時のトイレ対応として定評があります。
ただし1回分のみの商品なので、複数回分をまとめて用意する場合は個数・費用がかさむ点は考えておく必要があります。

【うんちが臭わないトイレ】 BOS携帯トイレ (Bセット) 1回分 災害/携帯/簡易トイレ/防災グッズ/15年保存 ◆防臭 防菌◆ 臭わない袋BOS付き
パナソニック LEDネックライト BF-AF10P
首から下げて使えるため両手が自由になり、避難時の移動や作業をしながら足元を照らせるのが利点です。
一方で電池式なので、予備の電池をどこかに用意しておかないと、長時間の停電では使えなくなる点は注意が必要です。

パナソニック 防水機能付 LEDネックライト ターコイズブルー BF-AF10P-G
最近は、後継機種のほうが入手しやすいかな??

パナソニック LEDネックライト 防滴機能付 グレイッシュブラック BF-AF15P-HK
エマージェンシーシート
アウトドアでも使用できる実用性で、薄く軽いのに保温性を意識した作りになっています。
ただし、素材自体はどうしても薄手なので、「これ一枚で真冬も安心」と過信せず、あくまで一時的な体温保持の補助と考えておくのが現実的だと思います。

Eco Ride World アルミシート エマージェンシーシート 静音 アルミブランケット 保温 防寒 コンパクト 3枚セット sb_126-02
エレコム 5000mAhモバイルバッテリー
携帯性と充電容量のバランスが取りやすい容量帯です。
ただし、スマートフォン1台をフル充電できる回数は1〜2回程度が目安になるため、家族分をまとめて使う想定には物足りない可能性があります。
井村屋 えいようかん
5年間の長期保存が可能で、常温でも溶けにくく、片手で食べられる手軽さがあります。
ただし1本あたりのカロリー・量はそれほど多くないため、1本で満足できる食事量ではない、という前提で複数本の常備をおすすめします。
このように、一つひとつの商品には得意なことと苦手なことがあります。
「これを買えば完璧」ではなく、
自分の状況に合わせて組み合わせていくものだと思っています。
3つの備えを、それぞれどこに置くか
- 防災ポーチ:毎日持ち歩くカバンの中
- 職場の備蓄:オフィスのデスクやロッカー(会社が用意しているものを把握しておく)
- 自宅の備蓄:玄関付近など、すぐに持ち出せる収納
それぞれ置き場所も、見直すタイミングも違います。
防災ポーチは中身の使用期限(携帯トイレ・非常食など)を半年〜1年に一度は確認することをおすすめします。
朝礼で話すなら
防災の日にちなんで、朝礼でこの話をするのもおすすめです。そのまま使える例文を、簡単にまとめておきます。
今日、9月1日は「防災の日」です。
会社には3日分の備蓄がありますが、これは「オフィスに留まる」ことを想定したものです。
通勤中や外出先で被災した場合は、まず安全な場所まで移動する必要があり、そこを支えるのは、それぞれが持ち歩いているものです。
モバイルバッテリーや携帯トイレなど、小さなポーチに入る範囲で構いません。
この機会に、一度自分のカバンの中身を見直してみてください。
9月の朝礼ネタについては、こちらの記事でもまとめています。
-
-
9月の朝礼ネタ:防災の日・季節の変わり目に使える話題を総務目線で紹介
9月の朝礼、何を話そうか。 そう思ってこのページにたどり着いた方が多いと思います。 9月は、話題そのものは多い月です。防災の日があり、季節の変わり目があり、秋の交通安全運動もある。 ただ、いざ人前で話 ...
続きを見る
まとめ
防災ポーチは、何日も生き延びるためのものではなく、外出先で被災した直後から、安全な場所へ移るまでを助ける、毎日持ち歩く備えです。
会社の備蓄、自宅の備蓄、防災ポーチ。この3つは役割が違うので、どれか一つで安心しようとせず、それぞれ別のものとして揃えておくと、気持ちの面でも整理しやすくなると思います。
市販の完成品も、それ単体で万全というわけではありません。足りない部分に気づいて、少しずつ補っていくくらいの気持ちで十分だと思っています。
出社・退社の判断そのものについては、こちらの記事も参考にしてください。
-
-
台風時の出社判断はどうする?総務が考えたい在宅勤務・出社抑制のポイント
台風時の出社判断、毎回悩みませんか? 台風が近づいてくると、総務や管理部門はかなり悩みます。 「明日は通常出社でいいのか」 「在宅勤務を呼びかけるべきか」 「でも、お客様対応や現場業務は止められない」 ...
続きを見る



