Contents
就活セクハラ防止措置は中小企業にも関係ある?
「就活セクハラ防止措置って、うちの会社にも関係あるの?」
最近このあたりのニュースを見て、少し気になっている総務・人事担当者もいると思います。
特に中小企業だと、採用担当が専任ではなく、総務や管理部門が兼任していることも多いですよね。
面接は人事だけでなく、現場責任者が出る。
インターンや会社説明会も、明確なルールがないまま運用している。
内定者との連絡も、担当者ごとにやり方が違う。
こういう会社は、意外と多いと思います。
結論から言うと、採用活動をしている会社であれば、規模に関係なく一度は確認しておいた方がいいテーマです。
この記事では、就活セクハラ防止措置について、中小企業の総務・人事がまず何を確認すればいいのか、現場目線で整理してみます。
なお、本記事は厚生労働省などの公開情報をもとに、総務・人事担当者向けにかみ砕いて整理したものです。実際の対応は、自社の採用方法や運用状況によって変わるため、最新の公的情報もあわせて確認してください。
そもそも何が変わるのか
これまで企業のセクハラ対策というと、主に社内の従業員向けの対応をイメージすることが多かったと思います。
上司と部下。
同僚同士。
職場内の相談窓口。
こういったものですね。
ただ、今回の改正では、求職者等に対するセクシュアルハラスメント、いわゆる「求職者等セクハラ」への防止措置も、事業主の義務になるとされています。厚生労働省のページでは、カスタマーハラスメント対策と求職者等に対するセクシュアルハラスメント対策が、令和8年10月1日から事業主の義務になると案内されています。
つまり、企業側から見ると、
- 面接
- 会社説明会
- インターン
- OB・OG訪問
- 内定者フォロー
といった採用活動の場面でも、ハラスメント防止の視点が必要になります。
ここは、中小企業ほど見落としやすいところだと思います。
大企業のように採用ルールが細かく整っていない会社では、「これまで何となくやっていた採用対応」を一度見直すきっかけにした方がよさそうです。
対象になりやすい採用場面
面接・会社説明会
まず分かりやすいのは、面接や会社説明会です。
ここでは、採用担当者や面接官が求職者と直接接点を持ちます。
たとえば、
- 容姿に関する発言
- 交際・結婚・出産予定などへの過度な質問
- 個人的な連絡先を聞く
- 選考に関係ないプライベートな話を深掘りする
こういった言動は、かなり注意が必要です。
面接官本人に悪気がなくても、求職者側は立場上、断りづらいことがあります。
ここは、採用する側が思っている以上に慎重に見た方がいい部分です。
インターンシップ
インターンも注意したい場面です。
短期・長期にかかわらず、学生や求職者が社内の人と接点を持ちます。
特に、現場社員が指導役になる場合は、採用担当者だけでは管理しきれないことがあります。
「職場の雰囲気を知ってもらうため」
「少し親しみやすく接しただけ」
というつもりでも、距離感を間違えると問題になりかねません。
厚生労働省のリーフレットでも、インターンシップ中に労働者が求職者等へ性的な冗談やからかいを継続して行い、求職者等が苦痛を感じる例などが示されています。
インターン受け入れ時には、事前に現場側へ最低限の注意点を共有しておくと安心です。
OB・OG訪問やリクルーター面談
中小企業では少ないかもしれませんが、リファラル採用や社員紹介に近い形で、求職者と社員が個別に話す場面もあります。
こういう場面は、企業公式の面接よりも少しカジュアルになりやすいです。
ただ、カジュアルだからこそ注意が必要です。
個人SNSで連絡する。
夜に二人で会う。
食事や飲み会に誘う。
選考の有利・不利を匂わせる。
こういった対応は、企業としてもリスクがあります。
採用担当者以外の社員が求職者と接点を持つ場合は、「会社として関係ない」では済みにくくなります。
内定後の懇親会や個別連絡
意外と見落としやすいのが、内定後です。
内定者懇親会、入社前面談、個別のフォロー連絡などは、選考中よりも少し空気が緩みやすいです。
ただ、入社前であっても、求職者側はまだ企業に対して弱い立場にあります。
「もう内定しているから大丈夫」
ではなく、内定後の接点も採用活動の一部として見ておいた方がよいと思います。
中小企業の総務・人事がまず確認したいこと
採用に誰が関わっているか
まず確認したいのは、採用活動に誰が関わっているかです。
採用担当だけで完結している会社なら、ルールの周知は比較的しやすいです。
ただ実際には、
- 役員
- 部門長
- 現場社員
- 先輩社員
- 外部の紹介者
など、複数の人が関わることがあります。
この場合、採用担当だけが注意していても足りません。
「求職者と接点を持つ人」に、最低限のルールを共有する必要があります。
現場社員が求職者と接点を持っていないか
中小企業では、現場社員が面接に同席したり、職場見学で説明したりすることがあります。
これは悪いことではありません。
むしろ、求職者にとっては現場の雰囲気を知れる良い機会です。
ただし、現場社員が採用対応に慣れていない場合、聞いてはいけないことを聞いてしまう可能性があります。
「結婚予定はあるの?」
「彼氏・彼女はいるの?」
「見た目が若いね」
こういう発言は、本人が雑談のつもりでも、採用場面ではかなり危ないです。
現場社員が関わるなら、事前に簡単な注意事項を渡しておくとよいと思います。
相談窓口を求職者にも案内できるか
今回、かなり大事なのが相談窓口です。
社内向けのハラスメント相談窓口はあっても、求職者に対して案内していない会社は多いと思います。
たとえば、
- 採用ページに問い合わせ先を書く
- 面接案内メールに相談先を入れる
- インターン案内資料に相談窓口を記載する
このあたりは、比較的取り組みやすいです。
厚生労働省のリーフレットでは、相談窓口をあらかじめ定め、求職者等に周知することや、相談窓口担当者が適切に対応できるようにすることなども示されています。
難しく考えすぎる必要はありませんが、「何かあったときに、どこへ連絡すればいいのか」が求職者側にも分かる状態にしておくことは大事です。
面接・面談ルールがあるか
最後に、面接や面談のルールです。
難しい規程をいきなり作る必要はありません。
まずは、
- 面接で聞かない質問
- 個人的なSNS連絡をしない
- 夜間や飲酒を伴う面談を避ける
- 二人きりの食事に誘わない
- 面談内容を簡単に記録する
このくらいでも、かなり違います。
中小企業の場合、完璧な制度を最初から作るより、まずは採用に関わる人が同じ認識を持つことが現実的だと思います。
いきなり完璧でなくても、まず整えたい3つ
中小企業が最初に取り組むなら、まずはこの3つからで良いと思います。
1. 採用に関わる人へ注意点を共有する
面接官、現場社員、役員など、求職者と接点を持つ人に最低限の注意点を共有します。
たとえば、
- プライベートな質問をしない
- 個人的な連絡をしない
- 容姿や恋愛・結婚に関する発言をしない
- 面談は会社が把握できる形で行う
このくらいでも、かなり予防になります。
2. 求職者向けの相談先を用意する
求職者が不安を感じたときに、どこへ連絡すればいいかを明確にします。
採用ページに書く。
面接案内メールに入れる。
インターン資料に記載する。
方法はいろいろあります。
大事なのは、社内だけでなく、求職者側にも分かるようにすることです。
3. 面接・インターンの運用ルールを簡単に決める
最後は、運用ルールです。
いきなり立派なマニュアルを作る必要はありません。
まずは、
- 面接は原則として会社指定の場所・時間で行う
- 個人SNSで連絡しない
- 懇親会や食事を行う場合は会社として把握する
- 現場社員に任せきりにしない
このくらいからでも十分です。
ルールがあるだけで、担当者も動きやすくなります。
総務・人事としての現実的な進め方
こういう制度対応は、きれいにやろうとすると重くなります。
規程を整える。
相談窓口を作る。
面接官研修をする。
採用ページを修正する。
全部を一気にやろうとすると、正直しんどいです。
なので、まずは現状確認からで良いと思います。
たとえば、
- 採用活動に誰が関わっているか
- 求職者との連絡手段は何か
- インターンや職場見学はあるか
- 内定者フォローは誰がしているか
- 相談窓口は求職者にも案内できるか
このあたりを洗い出すだけでも、かなり見えてきます。
細かい法解釈を断定するよりも、この記事では「中小企業の総務・人事がまず何を見直すか」に絞って整理しました。
実際に規程や相談窓口を整える場合は、厚生労働省の資料や、社労士・弁護士など専門家の確認もあわせて進めると安心です。
まずは、求職者と接点を持つ場面を見える化する。
そこから始めるのが、現実的だと思います。
制度対応や安全衛生のように、総務が関わる領域は意外と広いです。衛生管理者と総務の関係については、別記事でも整理しています。
→衛生管理者は意味ある?総務経験者が「取る人・いらない人」を整理します
総務や管理部門の役割については、こちらの記事でも整理しています。
